
東野圭吾の小説をこれから読み始めたい人へ、読みやすくて面白い5作品をご紹介します!
※今回は読む順番を気にしなくていいように、『容疑者Xの献身』などのシリーズの途中の作品は除外しています。
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①『秘密』
基本情報
| 作品名 | 秘密 |
| 著者 | 東野圭吾 |
| 出版社 | 文藝春秋(単行本・文庫) |
| 発売年 | 1998年(単行本) |
| ページ数 | 464(文庫) |
冒頭のあらすじ
自動車部品メーカーの生産工場に勤める杉田平介は、妻の直子と娘の藻奈美(もなみ)が直子の実家に行っている間、一人で留守番をしていた。
直子は従兄の葬儀のついでに藻奈美とスキーに行こうとしていたのだが、二人の乗っていたバスが事故に遭ってしまう。
直子は死亡し、藻奈美は意識不明の状態になる。
藻奈美が目を覚ますと、彼女には直子の意識が乗り移っていた。
ファンタジーな設定
本作は「娘の体に母の意識が宿る」というファンタジー的な要素が大きなウェイトを占めています。
この設定を聞いて「どんな展開になるんだろう?」「こういう問題が起きるんじゃないか」と想像が膨らむ人におすすめの作品です。
切ないストーリー
主人公の平介から見ると「妻の体は失われたが意識はある」「娘の体はあるが意識は失われている」という非常に複雑な状況です。
妻の直子から見ると「自分は平介の妻だという意識があるが、肉体は娘の藻奈美のもの」という、こちらもどう生きていくべきなのか悩ましい状態です。
このような意識と肉体の不一致が生み出す切ないストーリーが展開されます。

夫婦なのに夫婦じゃないもどかしさが切ない作品です
②『仮面山荘殺人事件』
基本情報
| 作品名 | 仮面山荘殺人事件 |
| 著者 | 東野圭吾 |
| 出版社 | 徳間書店(ノベルズ)、講談社(文庫) |
| 発売年 | 1990年(ノベルズ) |
| ページ数 | 294(文庫) |
冒頭のあらすじ
樫間高之(かしま たかゆき)は自動車事故で婚約者の森崎朋美を亡くす。
朋美の死から三か月後、高之は朋美の父・伸彦に別荘での親戚の集まりに誘われる。
別荘には朋美の両親と兄や親戚たちなど、高之を含めて8人が集まった。
次の日の早朝、突然別荘に2人の男が侵入する。
2人は銀行強盗をして逃げてきたと話し、8人全員を人質に取る。
そんな状況の中、別荘で殺人事件が起こる。
ミステリー色の強い作品
本作は「別荘を舞台に殺人事件が起こる」という、ミステリー小説の王道的なストーリーになっています。
そのストーリーの中に銀行強盗の闖入者が組み込まれ、最後には驚くべき結末が用意されています。
初期作品から読み始めたい人におすすめ
東野圭吾は1985年に『放課後』でデビューし、先ほどご紹介した1998年発売の『秘密』でブレイクしたのち、2005年発売の『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞しています。
本作は東野圭吾の作品の中では比較的初期のもので、1990年に出版されています。
ブレイク前の作品から読み始めたいという人に、本作はおすすめです。

以下の記事でご紹介した『ある閉ざされた雪の山荘で』もおすすめの初期作品の一つです
③『手紙』 ★迷ったらこれ!
基本情報
| 作品名 | 手紙 |
| 著者 | 東野圭吾 |
| 出版社 | 毎日新聞社(単行本)、文藝春秋(文庫) |
| 発売年 | 2003年(単行本) |
| ページ数 | 432(文庫) |
冒頭のあらすじ
武島剛士(つよし)と直貴は父母を亡くした二人きりの兄弟だった。
剛士は直貴の大学進学費用のために盗みに入り、住人に出くわして刺殺してしまう。
強盗殺人の罪で剛士は服役し、獄中から毎月直貴に手紙を書く。
直貴は「強盗殺人犯の弟」という運命を背負い、人生でさまざまな選択を迫られる。
犯罪加害者家族を取り上げた作品
本作の主人公は、強盗殺人犯である剛士の弟・直貴です。
決して直貴が罪を犯したわけではないですが、事件を知る人間は、直貴を事件と完全に切り離して考えてはくれません。
罪を犯した人間には刑罰が与えられますが、犯罪加害者の家族に何が起こるのか考えてみたい人におすすめの作品です。
東野圭吾屈指の泣ける作品
東野圭吾の作品は涙を誘うものが多いですが、本作はその中でもベストを争う泣ける作品です。
作品のタイトルにもなっている「手紙」が鍵となり、強く心を揺さぶります。
「小説を読んで泣きたい!」という気分の時におすすめです。
④『マスカレード・ホテル』
基本情報
| 作品名 | マスカレード・ホテル |
| 著者 | 東野圭吾 |
| 出版社 | 集英社(単行本・文庫) |
| 発売年 | 2011年(単行本) |
| ページ数 | 520(文庫) |
冒頭のあらすじ
都内で三件の連続殺人事件が起こる。
警察は次の事件が一流ホテル「コルテシア東京」で起こると考え、ホテルへの潜入捜査を計画する。
警視庁捜査一課の刑事・新田浩介はホテルマンに化けて潜入することになり、「コルテシア東京」の従業員である山岸尚美からホテルマンとしての振る舞いの指導を受けることになる。
「刑事×ホテルスタッフ」のバディ
本作は刑事の新田浩介とホテルスタッフの山岸尚美という異色のコンビが活躍します。
刑事とホテルスタッフでは客に対する見方が大きく異なり、立場の違いから生まれるやりとりがとても面白いです。
連続殺人事件を追うだけでなく、ホテルにはさまざまなトラブルが起こります。
それに対応していくお仕事小説としての面白さもあり、うまくミステリー要素と融合しています。

魅力的なエピソードが多く、飽きない作品です
シリーズ作品の入門編
近年の東野圭吾はシリーズ作品が多く、その中でも本作を含む「マスカレード」シリーズは2作品が木村拓哉・長澤まさみというビッグネームで映画化されています。
「マスカレード」シリーズは『マスカレード・ホテル』から始まり、2025年7月発売の『マスカレード・ライフ』まで、現在5作品が刊行されています。
『悪意』『新参者』などの加賀恭一郎シリーズや『容疑者Xの献身』『沈黙のパレード』などのガリレオシリーズは作品数が多い(前者が13、後者が10作品)ため、シリーズ作品の入門編としては「マスカレード」シリーズがおすすめです。
⑤『流星の絆』
基本情報
| 作品名 | 流星の絆 |
| 著者 | 東野圭吾 |
| 出版社 | 講談社(単行本・文庫) |
| 発売年 | 2008年(単行本) |
| ページ数 | 624(文庫) |
冒頭のあらすじ
両親が洋食屋『アリアケ』を営む功一・泰輔・静奈の三兄妹は、幼いころ夜中に自宅を抜け出し流星群を見に行く。
三人が家に帰ると、両親は殺されていた。
泰輔は犯人らしき人物を目撃していたが、犯人は見つからず、三人はかたき討ちを誓う。
14年の月日が流れ大人になった三人は、あることをきっかけに詐欺で金を稼ぐようになっていた。
そして、彼らは14年前の事件の犯人にたどり着く手がかりを見つける。
兄妹の絆がテーマ
本作は、14年前の事件の犯人を探し出すミステリー要素もありますが、三兄妹の絆が最も大きなテーマとなっています。
両親を殺された三兄妹がどのように生きていくのか、14年前の事件の手がかりを見つけてどう対応するのか、といった部分に興味がある人におすすめの作品です。
読みごたえのある作品
本作は600ページを超えるボリュームがあります。
それだけ長い時間を登場人物と過ごし、いくつものエピソードを積み重ねることで、深く感情移入することができます。
小説をある程度は読んだことがあり、「厚い小説を読みたい!」という方には本作がおすすめです。

本作を読破したらぜひ『白夜行』にも挑戦してみてください!
◆【これから読み始める人向け】東野圭吾のおすすめ小説まとめ
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①『秘密』
「娘の体に母の意識が宿る」というファンタジーな設定の切ない作品
②『仮面山荘殺人事件』
ミステリー色の強い、東野圭吾初期の作品
③『手紙』 ★迷ったらこれ!
犯罪加害者の家族に何が起こるのかを取り上げた、屈指の感動作
④『マスカレード・ホテル』
刑事とホテルスタッフの男女バディが活躍する「マスカレード」シリーズ第一作
⑤『流星の絆』
両親を殺された三兄妹の絆を描く、読みごたえのある作品

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