
SF小説を読み始めたい!

難しくなくて読みやすいSF小説はないかな?
以上のような方へ向けてこの記事を書いています。
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①『七回死んだ男』 著:西澤保彦(にしざわ やすひこ)
基本情報 / 冒頭のあらすじ
基本情報
| 作品名 | 七回死んだ男 |
| 著者 | 西澤保彦 |
| 出版社 | 講談社(ノベルス・文庫) |
| 発売年 | 1995年(ノベルス) |
| ページ数 | 400(文庫) |
冒頭のあらすじ
高校一年生の大庭久太郎(おおば ひさたろう、通称キュータロー)は「反復落とし穴」という特殊な体質を持っている。
久太郎が「反復落とし穴」にはまると、同じ一日が九回(九周)繰り返される。
久太郎以外の人物は「反復落とし穴」を認識しておらず、一周目も二周目も同じ言動を繰り返すが、久太郎だけは同じ一日を繰り返していることを認識しているため、意図的に違う言動をとることができる。
久太郎の祖父である渕上零治郎(ふちがみ れいじろう)宅で新年会が行われ、零治郎は自分が会長を務めるレストランチェーンの後継者を久太郎たちの中から決めると発表する。
そんな時に久太郎は「反復落とし穴」にはまってしまい、そして零治郎が殺害される事件が起こる。
SF設定を取り入れたミステリー
本作は「同じ日を9回繰り返す」というSF的シチュエーションを取り入れたミステリーです。
「どうしたら殺されてしまう祖父を助けられるか?」という謎にフォーカスした本格ミステリーとしての要素が強く、結末も論理的に推理可能になっています。
SFを読み始める最初の一歩におすすめ
本作は「同じ日を9回繰り返す」という設定以外にはSFの要素はなく、そのためSF小説にありがちな難しい用語は一切出てきません。
同じ日を繰り返すのでごっちゃになってしまうのではないかと不安になる方もいるかもしれませんが、途中で各周で何が起こったかのまとめがあるので、理解しながら読み進めやすいです。
普段ミステリー小説を読んでいて、これからSF小説に手を伸ばそうか悩んでいる方におすすめです。

ミステリー小説の入門としてもおすすめできます
②『クラインの壺』 著:岡嶋二人(おかじま ふたり)
基本情報 / 冒頭のあらすじ
基本情報
| 作品名 | クラインの壺 |
| 著者 | 岡嶋二人 |
| 出版社 | 新潮社(単行本・文庫)、講談社(文庫) |
| 発売年 | 1989年(単行本) |
| ページ数 | 478(講談社文庫) |
冒頭のあらすじ
大学生の上杉彰彦(うえすぎ あきひこ)は『ブレイン・シンドローム』というアドベンチャー・ゲームブックの原作を200万円でイプシロン・プロジェクトという企業に売却する。
イプシロン・プロジェクトは「クライン2」という疑似感覚をシミュレートする装置を開発しており、この装置はその場にないものに触っている感覚を与えたり、その場にないものを見ている感覚を与えたりすることができる。
イプシロン・プロジェクトは『ブレイン・シンドローム』の世界を体感できるゲームを「クライン2」を使って作り上げようとしていた。
彰彦は高石梨紗という美少女とともに、このゲームのモニターをすることになる。
VR(バーチャル・リアリティ)の未来を先取りしたストーリー
本作が出版されたのは1989年で、ゲームでいうとまだファミコンの時代ですが、現在のVR技術よりさらに先の「感覚までシミュレートできるVR」を想定して設定が練られています。
疑似感覚をシミュレートする装置「クライン2」の描写がとてもわかりやすく、肉体がスポンジ・ラバーに挟まれる感覚がよく伝わってきます。

いつか実現してほしい技術です
ミステリーの要素が強いのでネタバレに注意
著者の岡嶋二人はミステリー作家で、本作もミステリーの要素が強いです。
どのような謎があるのかはあえて書きませんが、レビューなどを探すとかなりネタバレを食らいやすいのでご注意ください。
③『代体』 著:山田宗樹(やまだ むねき)
基本情報 / 冒頭のあらすじ
基本情報
| 作品名 | 代体 |
| 著者 | 山田宗樹 |
| 出版社 | KADOKAWA(単行本・文庫) |
| 発売年 | 2016年(単行本) |
| ページ数 | 477(文庫) |
冒頭のあらすじ
近未来の日本では、人造人体(=代体)に意識を転送できる技術が開発され入院時などに利用されるようになった。
代体メーカー「タカサキ・メディカル工業」の営業部員・八田輝明(はった てるあき)は、代体のセールスや担当するユーザーに貸与する代体の調整などを行っている。
ある日、八田の担当ユーザーである喜里川正人(きりかわ まさと)が代体に入ったまま行方不明になる事件が発生する。
喜里川は病気の治療のために代体を利用していたが、ある事情から大きな決断を迫られていた。
意識の転送が可能になった世界
「意識が転送できる」という設定だけを見るとかなり現実離れしていますが、活用方法や法規制について具体的に考えられており、リアリティがあります。
そして意識の転送が可能になることで起こるさまざまな問題が描かれています。
飽きさせない展開
本作は章ごとに大きく話が展開し、次々に新たな事実が明らかになっていきます。

連続ドラマのような印象です
技術的な説明は端的でわかりやすく、かつ最小限に留めているため、物語を追っていきやすくSFに慣れていなくてもついていける作品です。
④『MM9』 著:山本弘(やまもと ひろし)
基本情報 / 冒頭のあらすじ
基本情報
| 作品名 | MM9 |
| 著者 | 山本弘 |
| 出版社 | 東京創元社(単行本・文庫) |
| 発売年 | 2007年(単行本) |
| ページ数 | 358(文庫) |
冒頭のあらすじ
地震や台風のように、自然災害の一種として「怪獣災害」が世界各地で起こっている。
日本は怪獣大国で、毎年たくさんの怪獣が発生するため、気象庁特異生物対策部(通称:気特対)が怪獣の調査や進路の予測を行っていた。
怪獣の規模は「モンスター・マグニチュード(通称:MM)」という、怪獣のサイズから脅威度を評価した数値で表される。
気特対は現場で怪獣と戦う自衛隊と連携し、人々を守るために奮闘する。
当たり前に怪獣が存在する世界を描く
本作の舞台となる世界には、地震や台風と同じように、怪獣が当たり前に存在しています。
そのため毎年「怪獣○号」と台風のように番号が振られ、気象庁が進路の予測や生態の解明などを日常の業務として行っています。
コミカルなタッチ
本作は災害が描かれており人命が危険にさらされるものの、全体としてコミカルなタッチで描かれており、ゆったりと読める作品です。
特に第四話の『密着! 気特対24時』は「警察24時」のようなドキュメンタリー調で、テレビのパロディを取り入れたユーモラスな話になっています。

本作は全五話の連作短編集(続き物の短編集)です
⑤『老ヴォールの惑星』 著:小川一水(おがわ いっすい)
基本情報 / 冒頭のあらすじ
基本情報
| 作品名 | 老ヴォールの惑星 |
| 著者 | 小川一水 |
| 出版社 | 早川書房(文庫) |
| 発売年 | 2005年(文庫) |
| ページ数 | 375(文庫) |
冒頭のあらすじ
本作は4編(「ギャルナフカの迷宮」「老ヴォールの惑星」「幸せになる箱庭」「漂った男」)の作品が収録された中編集です。
中編とは、短編より長いが長編より短い作品で、本作は1編が50~100ページほどの長さです。
そのうち2編の冒頭のあらすじをご紹介します。
「ギャルナフカの迷宮」
テーオという教師の男が、一枚の地図のみを渡され、地底にある政治犯用の牢獄「ギャルナフカの迷宮」に投獄されることになった。
一枚の板に乗せられ、縦穴から迷宮の広間に降ろされると、そこから無数の横穴が伸びていた。
囚人ごとに異なる地図には「餌場」と「水場」の印がついており、そこで食料と水が手に入る。
しかしその量はかつかつで、「生肉喰い(フレッシュ・イーター)」と呼ばれる、人間を食らう囚人たちがいるとテーオは迷宮で出会った老人に教えられる。
「漂った男」
墜落する星間戦略偵察機から脱出したタテルマ少尉は、惑星パラーザの海に着水する。
「U(アルティメイト)フォン」を使って救助を頼むが、パラーザには八億平方キロ以上の海のみが広がっており、タテルマの居場所が特定できない。
無人機を使って気が遠くなるような捜索が始まり、タテルマはただ一人海を漂流し続ける。
読みやすい作品から難しい作品まで幅広く収録
あらすじをご紹介した「漂った男」と「ギャルナフカの迷宮」はSFを読み慣れていない人でも読みやすい作品です。
そして「幸せになる箱庭」はSF度が増し、表題作「老ヴォールの惑星」はさらに難しい作品です。
このように難易度に大きく差があるため、自分にあったレベルを見定めることができる中編集です。

SFに慣れていない人は、表題作「老ヴォールの惑星」は最後に読むのがおすすめ!
極限状態で生きることと人との繋がりを考え直す
「漂った男」と「ギャルナフカの迷宮」は、どちらも極限状態の空間を舞台に、日常とは人との繋がり方が大きく変わってしまった世界を描いています。
「漂った男」の主人公はたった一人で海を漂い、通信機器を通してのみ人と会話することができます。
「ギャルナフカの迷宮」の主人公は何も持たずに迷宮に投獄され、一触即発の囚人社会で生きていくことになります。
◆【初心者でも読みやすい】日本のSF小説まとめ
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①『七回死んだ男』
「同じ日を9回繰り返す」というSF設定を取り入れたミステリー
②『クラインの壺』
触覚や味覚などの感覚までシミュレートできるVR装置をめぐるミステリー
③『代体』 ★迷ったらこれ!
人造人体(=代体)に意識を転送できるようになった世界を描く作品
④『MM9』
地震や台風のように日常的に怪獣が出現する世界をコミカルに描いた作品
⑤『老ヴォールの惑星』
読みやすい作品から難しい作品まで幅広く収録した中編集
◆「次はどんな小説を読もう?」と悩んでいる方はこちら!
自分に合う小説の見つけ方を以下の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください!
「面白かった小説の著者が受賞した文学賞から、似た傾向の作家を探す」など、すぐに始められる方法を解説しています。

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